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C 資金繰り〜運転資金に関する検討
設備投資においては、設備資金の他に設備投資に伴う増加運転資金を見積ることが必要となる。いま仮に、設備投資後においても、売掛債権など諸項目の回転期間は設備投資前と変わらないものとした場合の増加運転資金を検討した場合、当社は支払手形や買掛金などの企業間信用による資金調達が厚いため、サイトからみた運転資金増加額については設備投資後も問題がないことが分かる。
D 収支計画
B社設備投資後の資金収支予測を行った場合、現状のコスト率で算定した場合、税引後利益で2〜5百万円の黒字達成が見込まれる。また、キャッシュフロー(税引後利益+減価償却費)べースの資金計算では、キャッシュアウト後の返済後キャッシュで年間1〜3百万円程度の収入超が見込まれ、内部留保蓄積が可能となることが予測される。
ただし、最近の修繕工事傾向として、工事単価のダウンが顕著になっており、利益率の低下力堀念されている。また、海洋上木事業者のマインド萎縮がここでも影響を与えることが予見され、工事隻数も横這いもしくは縮小が考えられるため、予断を許さない状況である。従って、現時点での収支予測においては、本件投資後も黒字達成の見込みであり、かつ利益率の向上が見込まれるが、今後の工事隻数及び修繕単価(利益率)の推移を注視して、設備投資のタイミングを図る必要がある。
E 財務面からの総合評価
B社か本ケーススタディで採り上げた、フローティングドック事業を行うとした場合、財務面からその妥当性をみると、現時点での利益率を維持し、増加固定費を賄うための売上高増加を約280百万円程度達成できた場合、本件は事業として採算性が十分成立するものである。
ただし、収支計画でも指摘したように、今後の修繕工事受注の取り込みと利益率の確保が前提条件となっているため、現時点における海洋土木事業者のマインド等を勘案した場合、実際の資金調達を含めた設備投資には慎重な姿勢が要求されるであろう。

 

 

 

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